「う〜ん・・・・What should we do?」

 腕組みをし、ソニックは考え込んだ。
この流れでいくと、四人が今どこにいるのだかはわかるであろう。
 ルージュには礼を言って帰ってもらい、四人はまたテイルスの工房へ舞い戻り 案をねじ出していた。
だが、もうそろそろ皆ネタが切れている。
 数十分沈黙していた四人だったが、ナックルズはポツリと呟き沈黙を破った。

「こうなりゃ・・・・力ずくでも笑わせるか?」
「What? そりゃどういう意味だ?」

 彼の言葉に、今まで俯いていたソニックは顔を上げた。

「言葉の通り・・・・力ずくでも笑わせる。
 命の危機から救われたらいくらアイツでも笑うだろうし。
 ほっとしたとき、つい笑みがこぼれるだろ? それを利用するんだ」
「なるほど」

 人差し指を立て案を述べるナックルズに、テイルスは感嘆の声を出す。
テイルスと共にソニックとエミーは横手を打った。

「オレ達がシャドウをギリギリのところまで追い詰めて、そこで助けるわけか」
「ようするに、四人で一斉にシャドウをボコボコにしてあげればいいわけね」

 ソニックは次の作戦を具体的に述べ、エミーはピコハンを取り出し 不敵の笑みを浮かべた。
エミーの行動に冷や汗をかきながらも、ナックルズは「ああ」と頷く。

 ソニックは了解、というようにナックルズに頷き返すと、人差し指を天に向けた。

「よーし、それじゃあ 作戦決行だ!」




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『シャドウを笑わせよう大戦大作戦』

ミッション4:
  シャドウをほっとさせ、笑わせよう

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「シャドウ」

 ソニック一行はシャドウに近づき、ソニックは彼に声をかけた。
どうやら生きていたシャドウは、街にいるとろくなことがないと判断したのか ミスティックルーインのジャングルへと足を運んだようだ。
だが、その結果も良い成果は得られなかったようだ。

「そ、ソニック・・・・っ!? それに、テイルス、ナックルズ、エミーまで・・・・
 い、一体何故ここへ?」

 ここにソニックたちがいることに非常に驚いた様子を見せたシャドウは、一歩下がって問いかけた。
脅えているシャドウに対し、ソニックはフッ、と 不気味な笑みを見せる。

「お前に用があるからさ」
「よ・・・・用?」

 シャドウはソニックの言葉に首をかしげた。
・・・・・用とは何だ? まぁ、ろくなことじゃないのは確かだが・・・・
 そう思考をめぐらせていた、その時だった。

 ドゴォッ!!!!

――― な・・あっ・・・!!?」

 シャドウは息を呑んだ。
エミーのピコハンがシャドウの横をかすめ、地面に穴を開けたのだ。

「エ・・・・ミー?」
「用があるっていったでしょ?」

 笑みを浮かべ、エミーはピコハンを持ち直す。
その笑みは、どこか黒く 不気味だった。

 その黒いオーラは見間違いではなく、そしてそれはみんなから溢れ出していた。

 この言葉 今日使うのは二度目だろうか、と思いながらもシャドウは冷や汗を流し、思った。
 まさか。

 そのまさかだと思っていたが、次のソニックの言葉は予想外だった。

「シャドウ・・・・・お前の命、オレ達が貰い受ける!!
「はあっ!!?」

 わかっていながらも、シャドウは素っ頓狂な声を上げてしまった。
・・・・一体何が起こったんだ、奴等の身に・・・・っ!?

「そういうことだから・・・・・シャドウ、覚悟ッ!←テイルス
「『そういうこと』とは どういうことだっ?!!」

 「ふふふ」とテイルスも不気味に笑っている。
よく見れば、ナックルズ以外全員 何か楽しそうに笑っている。

「ナックルズ、一体コレはどういうことだっ!?」
「あー・・・なんていうか・・・こう、ねぇ」
「『こう、』なんだ!」
「なりゆきで」
「はあっ?!」

 シャドウはナックルズの発言に再び素っ頓狂な声を上げた。
何が何だかさっぱりわからない。
・・・何故僕が命を狙われなければならないんだ・・?

「驚いてる時間はないぜ、シャドウ!」

 言うが早いか、ソニックはシャドウのへと音速スピードで近づき 回し蹴りをする。

「くっ!」

 ビュゥン!

 ソニックの足は空を切り、小さな風を起こす。
後ろへと飛び退き ソニックの攻撃をかわしたシャドウは、空中で宙返りをし地面に着地した。

「何をする、ソニック!」
「お前の命はオレ達が貰い受けるといっただろ?」
「は!? 正気か!!?;」

 まさか本気で言っているとは思わなかったシャドウは、思わず大声を上げてしまった。 まぁ、当然の反応だが。

「次はボクの番だ!」
「テ、テイルスっ!?」

 テイルスが動き出したことにハッと気がつくと、シャドウは静止を求めるように声を上げた。
それに気付かず、テイルスは二本のしっぽを器用に使い 空を飛び、いとも容易くシャドウの背後に回る。

「っ!!」

 声にならない声を上げながらも、シャドウはテイルスとの距離をとるために 後ろへ飛び退けた。
その時だ。

「いらっしゃ〜い♪」
「・・・!!!?」

 シャドウはハッと後ろを振り向いた。
テイルスに気が集中していて、背後に気を使わなかったのだ。
そして、その背後には――― ピコハンを持った、エミー。

――― ・・・てぇりゃあああっ!!!!」
「くぁっ!!!?」

 シャドウは思わず小さな悲鳴を上げながら、頭を押さえ しゃがみこんだ。
ビュウッ、と 頭上でピコハンが横切る。

「や、やめろっ! ソニック、テイルス、エミー!」
「って、俺はのけものかよっ」←ナックルズ

 ビシッ、と ナックルズは空気に突っ込みを入れる。
だが、そんなナックルズに反応している時間はない。
言葉を発した直後には、シャドウの目の前にソニックが立っていた。

「もらった!」

 ソニックはそう言うと、しゃがんでいて体勢が整っていないシャドウに手加減ナシの回し蹴りを食らわせた。

「うああっ!!」

 ドゴッ!!!

 シャドウはソニックの攻撃をまともに受けてしまい、吹っ飛び 壁に叩きつけられる。

「本気かソニックッ・・・!!!; 何があったんだ、暴力はやめろッ!」
「今だ、みんな! かかれえぇぇっ!!!」
「僕の発言は全面否定!!?」

 大ショックを受けるその暇もなく、ソニック、テイルス、エミーは今がチャンスだと言わんばかりに猛スピードでシャドウに近づいた。
それも、ものすごい殺気を放ちながら。

「覚悟しろ、シャドウっ!!!!!」
「・・・ぅ、うわあああああっ!!!!;」








  (ぴーんぽーんぱーんぽーん♪)

 ---------教育にふさわしくない表現が含まれてますので、少々お待ち下さい---------

  (ぴーんぽーんぱーんぽーん♪)








「あああっ!!!」

 ソニックは何か重大なことに気がついたように、声を上げた。

「どうした、ソニック?」

 ナックルズはシャドウを足蹴にしながらソニックのほうを向く。

「オレ達・・・・・・・・・・
 シャドウをピンチに陥れた後――――――

 コイツをどう助けるか考えてねぇ・・・・・!!!


  ・・・・・・・



           あ・・・・・・・




 四人は凍りついた。 どうする、どうする、どうしよう。

もっ・・・・・本はと言えば案を出しといてそれを考えてないナッコウズが悪いんだろーっ!!?」
ああっ!? テメェらだって何も考えてなかっただろうが!!」
「案を出した者は、最後までどうするか考えないと駄目なんだぞ!! どーすんだよコレ!!」

 コレ――――― 抵抗できず四人にボコボコにされたシャドウのことだろう。

知るかっ!
「あーっ! 責任放棄!!!」←テイルス
「男のくせに、最後まで責任取りなさいよーっ!!」←エミー
集中攻撃かよ!! 俺の言葉にも一理あるだろうが!」
「うるせぇ! ナッコウズのくせに!」
「なんだとぉぉっ!!? つか お前は子供かっ

 ついに喧嘩が始まってしまった。
いつも静かなミスティックルーインのジャングルに、四人の大声が飛び交う。
その騒ぎに気付き、鳥達は一斉に大空へと羽ばたいて行っていた。

 ギャーギャーうるさく騒ぎ続ける四人の横で、ゆらりと誰かが立ち上がった。

「・・・・・堪忍袋の緒が切れる、とは・・まさに、この事だな・・・・・」

 その気配に気付き、四人はそのままの体勢のまま声を止め、その者の方を向く。

 そこには、邪悪な気を放つ、シャドウがいた。

「・・・・シャ、シャドウ・・・・?」
「やらせておけば・・・・・・・・、もう我慢できん・・・・・!」

 俯いていて、シャドウの表情はよく見えない。
だが、怒っていることはわかる。
殺気を放つほど、凄く怒っているのはよくわかる・・・・・

「シ、シャドウ! これ、にはワケが・・・・・!」
「君達の言い訳など、聞きたくない!」

 シャドウはソニックの言葉を塗りつぶし、声を荒げた。
・・・・やばい。やばい。 下手すると、殺される。
 そう四人が思ったその直後、シャドウは赤いオーラを体にまとった。


 シャドウ、ダーク化。


「カオス・・・ブラストオオオァァァアア!!!!!」
『ぎゃああああああっ!!!!』







                   ドオオオォォォォン・・・・・






 今度の爆発音は、想像上の効果音ではなかった。





「はぁ・・・・・は、はぁっ・・・・」

 怒りで力を使いすぎたのか、それとも怒りが収まらないのか、シャドウは肩で息をする。
地面には彼を怒らせた四人がてんてんと転がっていた。

「・・・少々、やりすぎたか・・・?」 シャドウは我に返ると、少し罪悪感を感じる。「大丈夫か、皆」
「あ・・・・あぃむ、ぉーる、らぃ・・・・」

 ソニックはそう言って強がってみるが、みんな虫の息といったところか――――今にも死にそうだ。

「何故、こんなことをしたんだ」

 シャドウは四人に、一番謎だったことを聞いた。
四人はふらふらと立ち上がり、申し訳なさそうに下を向く。 誰も口を開きそうにない雰囲気だ。
 数分 沈黙が続いた後、口を開き 説明したのはソニックだった。

「コイツらは関係ないんだ・・・・。 オレが勝手に引き込んだから・・・」
「・・・ソニック。 君は何をしたかったんだ」

 いつもの彼ではありえないほど ソニックはしょんぼりとしている。
シャドウは怒るのをやめて、いつもの声の高さでソニックに問いかけた。

「オレ・・・シャドウに笑ってほしくて」

 俯いたまま、ソニックは ぽつりぽつりと拾うように言葉を出す。

「ブラックドゥームのことも終わったし・・・記憶も取り戻したし・・・もう全部終わったのに。
 お前は相変わらず笑わない・・・。
 その前だってお前は笑わなかったし、その後だってお前は笑わない。
 もう笑ったっていいのにさ・・・・」

 ソニックはまだ俯いたままだ。
シャドウは無表情のまま ソニックの言葉に耳を傾ける。

「・・・ちょっと度が過ぎたのは悪かったって思ってる・・・
 でも、オレは・・・・」

 へにょり、と ソニックの耳が垂れる。

「・・・三人にシャドウを笑わせよう、って言ったら 三人とも快く引き受けてくれたんだ」

 ソニックはほんの少しだけ顔を上げて、三人を見回した。
といっても、ソニックからでは 三人は足しか見えなかったが。

「オレだけじゃない・・・・みんな・・・」

 ソニックの願いに加勢した三人は、ソニックの側に集まる。
自分達もそうなのだと伝えるためだ。

 ソニックはようやく顔を上げると、はっきりと声を出した。





   「  みんな、シャドウに笑ってほしいんだよ・・・・!  」





「・・・!」

 シャドウは驚き 目を見開いた。

 単純な願いだった。
その単純な願いのために、四人は一生懸命だった。
例え それで相手を傷つける結果になってしまったとしても。

 ―――― 彼らは、自分のために。

「・・・みんな・・・」

 シャドウは小さく声を出した。


 ・・・君達は僕がしたことを忘れてしまったのか?


 僕は君達に迷惑をかけているというのに。
 僕は君達に酷い目を遭わせてきたのに。


 その僕のために?




――――― ・・・かだ、君達は・・・」
「シャドウ?」

 ソニックにはシャドウの言葉が聞こえなかったようで、彼はシャドウに問いかけた。



 ―――― これからも、僕に関わることで危険な目に遭うかもしれないのに。
 あくまでも 君達は僕を仲間だと思ってくれている。


 馬鹿だ。


「・・・本当に、大馬鹿者だ」





 ―――――― そんな奴等に構っている僕も、馬鹿馬鹿しい。





「ふ・・・くく・・・」
「シャドウ?」

 ソニックは再び彼の名を声に出した。


 彼は、笑っていた。


「あ・・・!」
「・・・笑った・・・!」

 テイルスとエミーは ぱぁ、と顔を輝かせた。

「・・・シャドウ・・・!」

 ソニックは嬉しそうに声を上げた。
全ての作戦は失敗に終わったが、最後の最後で彼の笑顔が見れた。

 ナックルズは何も言わず、ただ 良かった、というように笑みを浮かべていた。

「それじゃあ・・・・あとは、」 エミーはにっこりと笑顔のまま、大きく口を開いた。「――― いつでも笑えるように、特訓しないとね!」
「え゛・・・っ!?」

 シャドウはぎくりと体を震わせると、一歩後ろへ後退る。
・・・・まさか、またあんな酷い目に・・・!?;

「そーだな♪ いつでも笑えるようにしなきゃあな!」
「ボクも賛成♪」

 ソニックとテイルスはすばやくシャドウの後ろに回りこむと、ソニックは両腕を、テイルスは両足をガッチリと掴んだ。
捕まえた、といったほうが 表現的には合っているだろうが。

「なっ!? なああっ!!?」
「そういうことだから・・・・まぁ、頑張れ」
「ちょっ、ナックルズ!? 僕を助けろ!;」
「俺は協力側だから」
「何ッ!!!?」

 ひらひらと手を振るナックルズの言葉に、シャドウは衝撃を受ける。
助けてくれる者は誰もいまい・・・・

「さぁ〜て、シャドウ 覚悟するんだな!」
「な、何をするつもりだっ!? 待て、その足を止めろおおっ!!!;」

 ソニックとテイルスはシャドウを持ち上げ、彼の言葉も聞かず 歩き出した。




 シャドウは叫び 助けを求めるが、
 自分を仲間だと思ってくれることにはまんざらでもなかった。



















  あとがきという名の反省してないけど(オイ)反省文

 え・・・へ。
えへへへへへっ☆(怖いよ

 あ、うんとね。 ごめん(いきなりーーーー
全てがノリと妄想で出来ています(ぅゎ
ギャグとかやってみたけど、難しいッスね;
いつもシリアス担当だったから、どこまでキャラを壊せばいいかわかりませんでした;
なんかちょっとやりすぎたかな? 感があるのですが(オイ
少しでも笑っていただけたら幸いです。

 この物語。
ある歌の歌詞で、「キミをもっと笑わせたいって 単純な願いがはじまり」というのがあったんですよ。(知ってる人は知ってる)
それを聞いて、いきなりネタが飛び込んできました(笑(「笑」じゃねぇ
んでもって、ソニックに 「みんな、シャドウに笑ってほしいんだよ・・・!」というセリフを言わせたかった(ぇぇ
だって・・・シャドウ、笑わないから・・・! そういうキャラだけどねぇ。
マリアさんと一緒にいるときはよく笑ってたじゃあないですか!(妄想癖アリ
 んで、シャドウを笑わせてみよう、と。

 シャドウを笑わせよう大戦大作戦。
ソニックたちが考えた作戦は、ほとんど零さんが考えてくれました。
「なんかシャドウを笑わせられることない?」といったら そらーもうじゃんじゃんと。
零さん、ギャグ担当なんです(笑)
ちゃっかり貸してもらいましたv 零さんありがとうございましたvV

 質問、意見、感想、苦情はWEB拍手よりどうぞ。
なんかもう、管理人を訴えてやってください(ぇ


掲載日:07 4 30 Mon.
By 聖夜 ライト

その後、シャドウは一体どうなったのか、
それはみなさんのご想像におまかせしますv(ぇぇ





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