それは、単純な願いから始まった



シャドウを笑わせよう大戦大作戦



 バンッ

 紙を置くと同時に、ソニックは立ち上がり テーブルに手を叩きつける。

「これを見てくれないか」


『シャドウを笑わせよう大戦大作戦』


 大きめ長方形の紙の上に、大きくそう書いてあった。
ソニックの顔は至って真剣である。

「・・・・何だよコレ。大戦って何するつもりだよ
「見て分かるだろ?それはちょっと間違えただけだ

 ソニックはそのままの顔で、向かい側に座っているナックルズを見る。
ソニックの隣にはテイルス、そしてテイルスの向かい側にはエミーが座っていて、4人でテーブルを囲っていた。


 ここはテイルスの工房。
ソニックは突然 テイルス、ナックルズ、エミーの三人にテイルスの工房へ集まるように伝え、
計4人が工房に集結した。
何をするつもりなのかさっぱりな三人に、ソニックは会議を始めると言い、そして今に至る。



「『見て分かるだろ?』 とか言われても俺にはさっぱりなんだが」
「ったく、コレを見て気付かないか?」

 ソニックは呆れたようにナックルズを見てため息をつき、そして彼に人差し指を突き出した。

『シャドウを笑わせよう大作戦』っ!
 つまり、いつも無愛想なシャドウを俺たちの手で笑わせよう、というイベントだ!」

 太陽のように光る全開の笑顔を彼に向け、ソニックはそう言い放った。
あっけに取られたように、三人はぽかんと口をあける。

「・・・・なんでいきなりそんなこと?」
「アイツはいつも笑わねぇからさ、オレたちの手でアイツを笑わせようと思って。
 時には笑顔も必要だろ?」

 テイルスの質問に、ソニックは腰に手を当てて答えた。

「そう言われてみると、シャドウっていっつも笑わないわよね〜。そういうキャラなんだろうけど
 あんな無愛想な顔してたら 幸せもどっか行っちゃうわよ」

 エミーは「うーん」と考えるようなポーズをとり、呟いた。
「だろ?」と ソニックは思いつきに賛成してくれたことが嬉しいのか、ぱっ と笑みをこぼした。

「そうだね〜、ボクは賛成かな。 やってみようよ、その企画」
「嫌な予感がするが、ストッパー役として付き合ってやるか」

 テイルスとナックルズは、エミーとソニックの言葉に納得したのか 提案した彼に頷いてみせた。
嬉しそうにソニックはにやりと笑うと、どこからかペンを取り出し、テーブルに置いた紙に何か文字を書き始めた。

「まずはこの作戦を実行するぞ」

 ソニックは紙にそれを書き終えると、顔を上げ 三人を見た。

「まぁ、一般的なやり方ね」←エミー
「シャドウってコレ効くのか?」←ナッコ
「試してみる価値はあるんじゃない?」←テイルス

 三人はそれぞれ感想を述べると、ソニックのほうを向き 頷いた。 了解の合図だ。
ソニックはそれに応じ頷くと、それを合図に四人は立ち上がった。

「Here we go !」




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『シャドウを笑わせよう大戦大作戦』

ミッション1:
  シャドウをくすぐり 笑わせよう

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「シャッド〜ウ♪」

 ステーションスクエアの街中、エミーは後ろから彼に声をかけた。
四人で話し合い、一番怪しまれない(と思う)エミーで作戦を実行することにしたのだ。

「エミーか・・・何の用だ」
「ちょっと、シャドウにしてもらいたいことがあって」

 振り向いたシャドウに、エミーは普段と同じように話しをし始める。
シャドウはエミーの言葉に首をかしげた。

「君のしてもらいたいこと?」
「そう! ちょっと後ろ向いてもらえる?」
「・・・・ああ」

 シャドウは不審に思いながらもエミーに背を向けた。
・・・・一体、何だ?

「で、僕はどうすればいい?」

 後ろを向きながらそうエミーに問いかけた・・・・、その時だった。

「(っ!!?)」

 紛れもなく、シャドウが察したのは・・・「殺気」
・・・・一体何をするつもりなんだ!?

 そう思い、反射で後ろを向こうとした―――― その次の瞬間だった。

―――― こちょこちょこちょ〜〜〜っ!!!♪」
、なあぁっ!!!?;;」

 エミーの言葉と同時に、エミーはシャドウの腰をくすぐり始めた。

「ま、ちょ くっ//// 何をするんだエミーッ!!!?///」←必死
「さぁさぁ、さっさと笑いなさいっ!!!

 ・・・突然 人をくすぐり、そして「笑え」と・・・・? しかも命令形
 シャドウは何が目的なのかさっぱりわからなかった。
必死に笑いをこらえるシャドウに対し、エミーは実に楽しそうだ。

「ま、まエミーッ! ここはれ、冷静に話しあいお・・・・・っ!////」
「問答無用ッ!!!」
「って、何故ェェッ?!!」

 エミーの言葉に大きなショックを受けながらも、シャドウは笑いをこらえる。
彼女に何かやっただろうかと超音速で過去を振り返ってみるが、思い当たる事は見つからない。

 このままだと、彼女の思い通りに・・・・っ!!!←超必死


「あともう一息だぞ、エミーっ!!」


 影から様子を窺っていた三人の中のソニックは、応援の声を届けた。
星が飛びそうなウインクをバチンとソニックに向け、エミーはくすぐりをさらに強化させようとした。

「覚悟しなさい、シャドウ!」
「だから何故だああぁぁっ!!//////」

 シャドウ必死に抵抗していたその時、バッ とエミーの手が離れた。

「(抜けた!)」

 シャドウは喜びの声を発しそうな ほっとした顔をすると、光速を越えるほどのスピードで
逃げていってしまった。

「あーあ、逃げちゃった」

 実にしょんぼりとした顔で、エミーはシャドウの背を見つめる。

「ごめんねソニック、失敗しちゃった」
「く、さすがシャドウ・・・・あの状況から逃げ出すとは驚きだ」
「それよりも俺は、シャドウはくすぐりに弱いということが驚きなのだが」

 振り返り、エミーは三人のもとへ戻る。
 ソニックとナックルズは腕を組み、それぞれそう呟いた。
テイルスは苦笑いをしながら ため息をついた。

「作戦は失敗だね」








「で、これからどうするんだ?」

 ナックルズはテーブルに頬杖をつき、向かい側にいるソニックに言った。
作戦が失敗したので、体勢を立て直すために 再びテイルスの工房に集まった四人は、シャドウを笑わせるために 知恵を絞っていた。
だが、案は浮かんでこない。
数分悩んでいた四人だが、ふとエミーは思いついたように立ち上がった。

「そうだ! 料理を作ってあげましょ!」
「何でそんなこと、突然?」

 テイルスはエミーを見上げ、不思議そうに尋ねた。

「ほら、美味しいもの食べると笑みがこぼれるじゃない?
 だから それをやってみるのよ!」
「Oh,Great! いい案じゃないか、エミー!」

 ソニックは横手を打つと、それとほぼ同時に立ち上がった。

「さぁ、早速作ろうぜ!」
「何を?」
「そうだな、ケーキでいいんじゃないか? エミーはケーキの作り方知ってるだろうし」
「まっかせて!」

 エミーはそういうと、ガッツポーズをとり 笑顔を見せた。

「みんなで作って、シャドウを笑わせてやろうぜ!」
『おおー!』

 ソニックの言葉を合図に、ナックルズを抜かした三人は高らかに拳を上げた。
ナックルズはというと、腕を組んで冷や汗をかいていた。
・・・・嫌な予感がした。




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『シャドウを笑わせよう大戦大作戦』

ミッション2:
  手料理の美味しいケーキを作り、シャドウを笑わせよう

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「シャドウ!」

 ソニックはちょっとやつれ気味のシャドウに声をかけた。
シャドウはまだステーションスクエアにいたようだ。

「ソニック? それにテイルス、ナックルズ・・・・・エ、エミーまで」

 エミーを見た途端、シャドウはギクリと体を震わせたが、ソニックはあえて気にしないフリをした。

「一体どうした」
「いや、コレを渡したくて」

 ソニックはそう言うと、シャドウに箱を差し出した。
ケーキが入ってそうな箱だ。

「これは?」
「みんなでケーキ作ってみたんだ。 だから、食べてもらいたくて」

 シャドウは不思議そうな顔をして、その箱を受け取った。
料理をするなんて、みんなにしては珍しい。
だが、みんないつも通りだ。

「よかったら 今食べてくれよ」
「・・・・ああ」

 シャドウはソニックから貰ったケーキの入った箱を開け始めた。
・・・さて、どんな仕上がりだろう。

 その箱を開け、中身を開けた途端――――― 絶句した。



 緑色の・・・・・ケーキ・・・・?



「さ、食べてみてくれよ!」(爽やかに)
「いやいやいやいやいやいやいやいやいや」

 シャドウは冷や汗が噴き出るのを感じながら 首を横に高速で振った。
ケーキが「ボクには毒が入ってるヨ!」と喋っているように見える。

「なんだよ、冷たいヤツだな」
「待て・・・・・君達にはこの毒物が見えないのか・・・・?

 ぶるぶると震える手でシャドウは緑色をしたケーキを指差した。

「ああ、それ」 ソニックは微笑んだまま言葉を返した。「ちょっとばかし調味料の分量を間違えちまってな!
 ちょっと色が変になっちゃっただけだ!」
「『ちょっと』・・・・・?」

 シャドウの顔が青ざめていく。
彼らはあくまでこれが食べ物に見えているようだ。

「いや・・・・申し訳ないが、遠慮しておく・・・・」
「ええ〜、何でだよ〜?」
「命に関わるからだ」

 シャドウは箱をやんわりと閉め、そしてやんわりとソニックにケーキを返した。

「そ、それじゃあ僕はこれで失礼する」
「おい 待てよシャドウ!」

 足早と立ち去ろうとするシャドウの肩を、ソニックはがしりと掴んだ。 否、捕まえた。
例えは極端だが、骨が折れるほどの力で。

「ソ、ソニック・・・・?」
「食わないんだったら・・・・」

 ソニックは俯いている。
よほど食べないといったのがショックだったのか、それとも・・・

 ソニックは顔を上げると同時に、大声を発した。


「無理矢理にでも食わせてやる!!!」


 ターゲット、ロックオン。
と、ソニックが機械だったらそう言うだろう。
ソニックはギラリと目を光らせると、シャドウに飛び掛った。

「なああああぁっ!!?」

 ドオオオッ!!

 地面に思いっきり叩きつけられ、シャドウは痛みにひるむ。
ソニックはその隙にシャドウの腕を掴み、身動きを取れなくした。

「今だ、ナッコーズ!!!」
「はあっ?!!」

 シャドウは思わず素っ頓狂な声を上げる。
ソニックの言葉を合図に、ナックルズは華麗に箱からケーキを取り出し、そしてそれをシャドウに向けた。


「食らえええええええっ!!!!」
「うあああああっ!!!;;;」






   ドォォォォン・・・・ (←実際に爆発音はしていません)





「・・・・だめか〜」

 ソニックは残念そうにそう呟いた。
そこには、魂の抜けているシャドウ。

「何で気絶しちゃうかな〜」

 エミーはそういうと首をかしげた。
本当に理由が分かっていないようである。

「だから俺は作り直そうぜ、って言ったんだ」

 はぁ、とため息をつくとナックルズは無様な姿になっているシャドウを見下ろした。

「全く弱っちいね〜」
「ちょ、テイルス おま・・・・っ」

 呆れた顔をして地味に冷ややかな言葉を放つテイルスに、ナックルズは驚いて思わず突っ込んでしまった。
怖いのであまり大きな声は出さなかったが。

 エミーはシャドウを見ながら 判断し、ため息をついた。

「ま、とにかく作戦失敗ね」








「今度はどうしたらいいかな」

 テイルスはしかめっ面をして じっと考え込んだ。

「なぁ、シャドウ あのまま放置しておいてよかったのか?」
「アイツのことだ、きっと生きてるだろ」

 ナックルズの不安そうな言葉にソニックはすんなりと返すと、また考え始めた。
作戦が失敗した四人は、またテイルスの工房へ戻り 案を考えていた。
それぞれ考えるポーズをしながら 案を捻り出す。

「あ!」
「どうした、テイルス!」

 テイルスの突然発した言葉に、ソニックは即座に反応した。

「ねぇ、恋愛したら笑顔にならないかな!?」
「恋愛?」
「そう! 恋をしたらきっと全てが幸せに見えるよ!」

 テイルスは人差し指を立て、そう案を出した。

「でも 恋愛相手もいないだろ。それにシャドウって恋なんかするのか?」
「恋をするんじゃなくて、ボクらが恋をさせるんだよ!
 それにぴったりの恋愛相手がいるじゃないか」

 ナックルズの質問に、テイルスはすぐ答えを返した。

「まぁ、テイルスにまかせてみるか!
 オレは賛成だ!」
「あたしも賛成!」
「賛成の前に、まずその恋愛相手を紹介してもらおうか」

 ナックルズはソニックとエミーの流れには乗らず、納得していないらしく 腕を組んだ。

「んじゃ、紹介するよ! ちょっと待っててね」

 テイルスはそう言うと、彼自身の工房を後にした。








「・・・・おまたせ! この人だよ!」

 そう言ってテイルスが工房に招いた人は、三人とも見覚えのある人だった。
体にピッタリと張り付き、理想的なボディラインを見せる黒い服、そして大きな胸にフィットした大きいハートの模様。
彼女の種族の特徴である、黒に近い紫色の大きな羽。
 ・・・・ここまで言えば誰でも予想はつくだろう。

「・・・・・テイ、ルス?」
「なぁに、ナックルズ?」
「まさか、コイツを恋愛相手に?」
「決まってるじゃないか。 それに、訳を話したら快く引き受けてくれたし」
「なにぃぃぃぃっ!!!!?」

 テイルスの言葉に驚き、ナックルズは思わず声を上げた。

「な・ん・で・よりによってこのコウモリ女なんだよぉぉっ!!?」
「どういう意味よ、この単細胞ハリモグラッ!」

 ナックルズの言葉が気に入らなかったのか、招かれた彼女は声を荒げた。
そう、シャドウの恋愛相手としてテイルスが目をつけたのは―――― 他でもない、ルージュ・ザ・バット。

「それじゃあ、早速作戦開始ね」
「ちょっと、いやかなり待てぇぇぇぇっ!!!」
「ルージュ、準備は出来てるよね?」

 ナックルズの言葉を無視し、テイルスはルージュのほうを向いた。ナックルズを遊んでいるようにも見える。
ルージュはテイルスの言葉に、「バッチリよ」と相槌を打った。

「おい、俺の話を聞けよ!!」
「なんだよさっきからうるせぇなぁ ナッコーズは・・・ なんか文句でもあるのかよ」
「アリアリだあああぁぁぁ!!!」
「こんなハリモグラはほっといて 早く行きましょ」←エミー
「そだな〜」←ソニック
「っておい! 『文句でもあるのか』と聞いといてそれかよ!!
 誰でもいいから俺の話をk」


 ナックルズの言葉を強制終了したことを告げる様に、ルージュの足が彼の後頭部にヒットした
鈍い音が工房に響き渡った。




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『シャドウを笑わせよう大戦大作戦』

ミッション3:
  恋愛をさせ、シャドウを笑わせよう

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「あら、シャドウじゃない」

 足をふらふらとふらつかせるシャドウに、ルージュは声をかけた。
シャドウはあれからさほど歩いていないようで(というか歩けないようで) まだステーションスクエアにいたようだ。

「ル・・・ルージュか」
「どうしたの? いつもよりやつれちゃって」
「いや・・・なんでもない。 気にしなくていい」

 シャドウは今までに起きた悪夢を思い出し、頭を押さえる。
ルージュは四人のしでかした事を知らないようで、少し首をかしげる。

「シャドウ?」
「色々あってな・・・・思い出させないでくれないか」

 シャドウは はぁ、と深いため息をついた。
いつもの彼女なら「まぁ いいわ」ぐらいで 適当にやり過ごしてくれると思っていた。
 ・・・・だが、次の彼女の言葉は予想外だった。

「『気にしなくていい』なんて言わないで頂戴」

 ルージュはそう言うと、シャドウの肩を軽く叩いた。

「アナタの身に何かが起こったとなると・・・心配だわ。
 何が起こったのか話してくれないかしら・・・・?」
「ルージュ・・・?」

 シャドウはルージュを見上げた。 いつもの彼女とは違う。
ルージュは、申し訳なさそうな、切なそうな顔で彼を見下ろしている。
 そう、いつもの彼女とは違う・・・


――― 「(まさか、ルージュも奴らの手先か・・・・!!!?;)」


 シャドウはハッとすると、冷や汗を流した。 すっかり人間不信になっている。
そういえば、今考えると 奴らもいつもより様子が違う気がした。
この調子で行くと、ルージュも・・・・・

「あ、き 急に用事を思い出した!
 では、僕はここで失礼するっ!;」

 シャドウはルージュにそう言うと、逃げるようにくるりと 彼女に背を向けた。

「あっ、シャドウ!」

 ルージュはそうシャドウを呼び止めるが・・・もちろん、シャドウは止まらなかった。
もうあんな酷い目に遭いたくないのだろう。

―――― ルージュ、シャドウが逃げちゃうよ!」

 彼女の後ろで物陰に隠れていた四人のうちの一人、テイルスは慌てるようにルージュにそういった。

「大丈夫、まかせて頂戴」

 ルージュは不敵の笑みを浮かべると、軽くウインクを送る。
その後、彼女は シャドウを追いかけるために走り出した。




 ――― その一方、シャドウは。

 全速力で逃げていた彼は、足を動かしながら後ろを振り向いた。
誰もいない。
 どうやら、逃げ切ったようだ。

「・・・ふぅ」

 シャドウは安心すると、スピードを緩め 足を止めた。
もう追ってこないだろう・・・・

 はぁ、と もう一度息を吐くと、シャドウは前を向いて歩き出した。


 だが、まだ 安心するのは早かったようだ。



―――――――――― シャードーウ!!!!」

 ギクッ!!!
 シャドウはそんな効果音とともに、肩を震わせた。
 まさか。

「ルー・・・」

 シャドウがそう振り向こうとした・・・・・その時だった。

「キャーッ、つまずいて転んじゃったわあああぁぁっ!!!!」←何故か説明的
「ゔぐあ゙ぁ゙っ?!!!!!」

 ドスゥゥッ!!!!!!
 ズザザザザザアアァ・・・・・

 シャドウが振り向こうとした時、ルージュがつまずいてきた、否 突っ込んできた。
ロケットのように吹っ飛んでくるルージュの体が シャドウの胸部に見事にヒットし、何かやばそうな音を響かせた。
吹っ飛び速度が緩まず、そのまま二人は宙を浮き 地面に体をこすり付ける。
ただ、ルージュはシャドウの上に乗るような体勢だったので 地面に体をこすり付けることになったのはシャドウだけだったが。

 数メートル地面を滑っていた二人は、火が出るほどの摩擦でようやく止まった。

「・・・・あら?」 ハッと気を取り戻したルージュは、立ち上がり苦笑した。「・・・ちょっとやりすぎたかしら」

 照れるように頬を染め、片手を当てるルージュの足元には―――― 完全に伸びてしまったシャドウ。
ピクリとも動かず、魂はもはや天国へ。

「ルージュ、大丈夫?」
「その前に シャドウのことを心配しろよ・・・」←ナックルズ

 事が終わったことに気付くと、四人は二人のもとへ駆けつけ エミーが彼女に声をかけた。
ルージュはエミーのほうを向き、「大丈夫よ」と笑ってみせる。

「くそー・・・シャドウは鈍感なタイプなんだなぁ」
「いや、鈍感とかそれ以前の問題だと思う」

 腕組をしため息をつくソニックに対し、ナックルズは首と手を横に振る。

「恋愛大作戦なら上手くいくと思ったのに〜・・・・予想外だったなぁ」
「完全に人選ミスだそれは」
「どういう意味よそれ」

 テイルスの言葉にナックルズは思わず漫才のように突っ込みをし、ルージュは機嫌を損ねたようにナックルズのスネを蹴った。
それも、メカを壊せるほどの力で。

「・・・・・・・!!!!!!;;;」
「ともかく、作戦は失敗だな」

 ナックルズがルージュの蹴りに飛び上がっているのをスルーし、ソニックは肩をすくめそういった。





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